現在CADの種類は数百種あると言われています。そこで大きな問題とされているのがファイルの互換性です。CADのソフトウエアは、無料でダウンロードできるフリーソフトのものから、500万円以上する高額なソフトウエアまでありますが、各社で出しているファイルは互換性が完全ではないのが現状です。ファイル形式が同じならデータの互換は可能なのですが、ファイル形式が違えば、ファイル形式の変換が必要となります。
このデータの互換性の問題はとくに3DCADにおいて顕著に表れています。またデータの互換が可能でも、完全ではない図面になってしまったりする場合もあります。一目見て図面が間違っているとわかるならいいのですが、細かい図面の一部のみ間違ったデータになると、見分けるのに非常に困難で確認するだけで大変な労力になってしまいます。

なぜこのような問題が起こるのでしょうか?このような現象がおこってしまう原因には多くの要素があるのですが、その中で大きく考えて2点上げることができます。
まず1点目はソリッドカーネルと呼ばれる3次元CADの相違があります。ソリッドカーネルとは、3次元でオブジェクトを表現するときに使われる手法といえるでしょうか。例えば曲面を表す時の表現方法だけでも、ベジェ曲面、NURBUS曲面、Bスプライン曲面などがありますし、更にオブジェクトのソリッド形状を表現する方法などにも様々な方法論があります。この様な仕様の違いが曲面表現の違い、幾何表現の違い、モデリング許容値の違い等を生じさせます。以下に主なソリッドカーネルの種類と主なCADソフトを挙げます。

主なソリッドカーネルの種類と主要なCADソフト(各ソフトの特徴は別項参照)

ソリッドカーネルタイプ
発売元
主要CADソフト例
Parasolid(パラソリッド)
UnigraphicsSolutio(米)
SolidEde
SolidWorks ほか
ACIS(エイシス)
Spatial Technology(米)
AutoCAD
AutoDeskInventor ほか
DESIGN BASE(デザインベース)
リコー(日)
図脳Century3D
MICRO CADAM Helixほか
独自のカーネル
-DEAS
CATIA
Pro/ENGINEER ほか

Parasolid(パラソリッド)、ACIS(エイシス)、DESIGNBASE(デザインベース)はライセンス販売されていて、それぞれの表現方法を利用したCAD製品が各社から販売されています

もう1点が、例えば1つの線分を表すにしても、始点と終点を指定し線分を表す定義方法と、始点から、方向、線分の長さを指定して線分を表す定義方法などがあり、この定義方法が異なればデータのやり取りは出来ないことになってしまいます。

ここではCADのファイルフォーマット、つまりファイルの保存形式について簡単に説明します。CADにおいてファイルの保存形式は多岐にわたり、DXF,DWF,DWG、JWC,JWW,IGES,SIMA,STEP,SXF、その他にもあります。以下に代表的な保存形式について説明します。

DXF (Drawing Exchange Format) ・・・現在もっとも有名なCADソフトの一つAutoCadを製作した米オートデスク社が開発したファイルフォーマット形式です。本来AutoCadの異なるバージョン間のデータ互換を目的として開発されたのですが、その内部が公開されているため多くのCAD製品で扱われるようになりました。ただし、製品ごとの細かい違いを吸収できないため、またAutoCadのバージョンにより異なる形式が存在するので完全に図面を再現できないこともあります。図面の再現が完全ではない場合、DXF出力側のバージョンを選択することにより読み取れる場合もあるそうです。

DWG・・・米オートデスク社が開発したAutoCad の標準ファイル形式です。他社のCADソフトでも読み書きができるものもあります。また米オートデスク社では、DWG形式のファイルを見ることが出来るフリーソフトDWG TrueViewを提供しています。この形式も各バージョン間で含まれる情報に違いがあり、古いバージョンでは新しいファイルを完全に再現できない場合もあるそうです。

DWF(Drawing Web Fomat) ・・・インターネット上で利用される技術の標準化を策定するIETFによって認定されてファイル形式です。インターネットを含むネットワーク上で図面をやりとりするための公開ファイル形式として、Autodesk社が開発しました。

IGES・・・異なるCAD間でデータを交換する際に使用する中間ファイル・フォーマットの一つです。アメリカ合衆国の工業的な分野の標準化組織である米国規格協会(ANSI)が策定し、自動車産業を中心に実質的に世界標準のフォーマットとなっています。

SIMA・・・日本の測量業界で主に使われている形式です。測量用のアプリケーションとCADとのデータ交換を目的としています。

STEP(ISO10303)・・・国際標準化機構(ISO:電気分野を除く工業分野の国際的な標準規格を策定するための民間の非営利団体)による標準規格で、コンピュータが解読可能な工業製品データの表現および交換の標準規格として用いられ、異なるCADソフト間においても、データの互換が出来るよう徐々に普及しつつあります。

SXF・・・STEPの規格の一つで、異なるCAD間でデータをやりとりする際に使用する中間ファイル形式です。図面の電子納品をする際の標準ファイルとなっています。

1)2次元CAD編
Jw_cad・・・インターネットを通して無料でダウンロードできる2次元CADソフトです。最近ではCADのフリーソフトは多くなってきましたが、その草分け的存在といえるでしょう。以前はDOS版とwindows版があり、windows版をJwwなどと呼ぶこともあります

AutoCad・・・米オートデスク社が開発、販売しているCADソフトです。世界中で使われています。もっとも有名なCADソフトの一つと言えるでしょう。カスタマイズの機能が充実しているので自分で使う用途に合わせやすい特徴があります。安価なLT版も若干機能の制限はありますが販売されています。最近のモデルでは3次元機能を使うことができます。

鍋CAD・・・日本アルファー精工株式会社。機械系汎用のCAD/CAMです。無料でダウンロードできるフリーソフトなのですが、2.5次元のCAD機能まで付いている優れたCADソフトです。

(2)3次元CAD編
CATIA・・・仏ダッソー社 。UNIGRAPHICS・・・米マクダネル・ダグラス社。
CATIAとUNIGRAPHICSは、航空機開発用CADとして、開発されました。クラスはともにハイエンドクラスに入り、ソリッドカーネルタイプは、CATIAがダッソー社独自のカーネル、UNIGRAPHICSがパラソリッドとなります。CATIAは自動車業界、航空機業界、UNIGRAPHICSは金型、自動車業界で多く使われています。

I-DEAS・・・米SDRC社。電気機械産業に多く使われているCADソフトです。大きな特徴はパラメトリック機能と呼ばれる機能を有し、一人で完結する部品の設計に向いていると言われます。 

Pro/ENGINEER・・・米PTC社。ハイエンドの3DCADで、ソリッドモデルカーネルはGranite Oneと呼ばれる独自に開発した仕様となっています。特徴はパラメトリック機能といわれ、一人で完結する部品の設計に向いています。 電気・情報機器産業に多く導入されているCADです。

SolidEdge・・・米Unigraphics Solutions社。ミドルレンジのCADで機械要素設計、機構設計に強いと言われています。ソリッドモデルカーネルの仕様はパラソリッドです。

SolidWorks・・・仏ダッソー社。ミドルレンジのCADソフトではもっとも有名なCADソフトの一つです。ソリッドモデルはパラソリッドを用いてますが同じダッソー社のCATIAとの連携がしやすいと言われています。

IronCAD・・・米IronCAD,LLC。ミドルレンジクラスのCADなのですが ソリッドモデルカーネルにエイシスとパラソリッドの両カーネルを採用しています。ミドルレンジクラスのCADでは珍しいタイプのCADと言えるでしょう。

図脳Century3D・・・・日本フォトロン。ローエンドのCADなのですが、サーフェス機能が充実していて、ミドルレンジのCADソフトとほぼ同等の機能を有しています。ソリッドモデルカーネルはデザインベースとなっています。

これからCADの仕事に就こうと考えている方は大勢いらっしゃると思います。現在企業がその方のスキルを客観的に判断できる資格認定制度がCADにもあり、その中でも日本最大のCAD資格受験者を誇るのが、CSAJが主催するCAD利用技術者試験です
 
CAD利用技術者試験の種類は、主として設計・製図業務に従事し、1年以上の就学・就業経験を有する者を想定して行う3次元CAD。建設系もしくは機械系のシステムを利用し設計・業務に従事し、1年以上の就学・就業経験を有する者を想定して行う建築1級、機械1級。汎用系のCADシステムを利用し、主として2次元図面のトレース業務に従事し、半年以上の就学・就業経験を有する者を想定したトレース1級。CADシステムを利用するすべての企業において、製図業務や営業・販売業務に従事し、半年以上の就学・就業経験を有する者を想定して行う2級。その他にCADを本格的に学ぶことを目的とした、3ヵ月程度の就学者を想定して行うCAD利用技術者基礎試験があります。
 1級の試験を受験するには2級に合格していなければなりませんが、就学・就業経験の年数はあくまでも目安であり、能力があれば合格できる認定制度となっています。受験者数も多く企業でも広く認知されているので資格を持っていれば就職や転職に有利と言えるでしょう。

 では実際にCADを使ってどのように仕事にアプローチしていけばいいのでしょうか。まずは設計事務所などで基礎を学び経験を積み、設計、製図の知識を身につけることがいいのではないでしょうか。その後は自分で開業を目指したり、在宅しながら仕事を得ていくなどそれぞれの方にあった道を進むことができます。近年、企業がCADに係わる業務を外部に委託する形が多くなってきています。CADのデータはインターネットを通して納品することが出来るので場所を問わないケースが多いのです。
また、最近求人広告で募集されているCADオペレーターの仕事とは主に手書きの図面をCADソフトにトレース(複写)する仕事になります。

今後CADを使った仕事はさらに増えると考えられます。しかしながら、現在多くの企業が3次元のCADを主流としつつあることを踏まえると、独立し高収入を得るには高度な専門知識が必要と言えるでしょう。ただしCADは独学でも学ぶことは可能ですし、インターネット環境が整備されている現代ではさまざまなサイトで問題を解決してくれたり、詳しい解説を行なっているところが数多くあります。それらを上手に活用していけば、スキルアップも可能ですし、自分にあった形でCADを使った仕事も見つけられるのではないでしょうか。

CADを使った仕事は様々ですが、在宅やSOHOといった自分にあった仕事の形を選ぶことが十分に可能である事はCADに関する仕事の魅力とも言えるでしょう。

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